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器械運動学会潜入記

12月14日(日)
日本体操競技・器械運動学会第17回大会
に、潜入して参りました。

だって

※会員でない方も参加できます。

って書いてあるもんね。
ただし、この「会員外」の「外」が、ファンを含むのかは不明(笑)。

しかし「会員外」の受付に近づくと、どうやらここで名前と住所を書かねばならないらしい。ちらっと見ると、ええ、まったく体操と関係ない人はいない様子。つか、普通に元選手の名前とかあるし。つまり、えー、一般人の参加者は私だけでした。多分(ほかにもいたら友達になりたいよ)。
会場は実に立派なセミナー室、出席者はざっと70人前後でしょうか。
内容は、レジュメやパワーポイントを使った、大学の大教室の授業と同じような雰囲気。指導者でもない私には、はっきりいってさっぱりわからん話になるのかと思いきや、意外に面白かったです。

午前中のシンポジウムは
「器械運動教材のデジタル映像化の現状と将来」
なんか難しそうなテーマですが、ネットなどに流れる「体操指導要領」みたいなコンテンツについて、将来どう掌握していくか、ということが話の中心となりました。私はいわゆる一般ファンですので、あまり気づかなかったのですが、ネット上に「学校体育における器械体操の指導方法」を扱ったサイトがたくさん生まれてるんですね。あー。紹介されたサイトのうちのひとつは、見たことがあるかも・・・。
こういった動きの中で、器械運動学会のサイトはどうしていくか、というような話が遠藤先生から。結論としては、そういった情報のリンク集的役割というか、ネットワークとなることが目的のようです。

また、ネットに掲載されている情報が正しくないようでは困る、という点が強調される。また、ビデオを使った基本的な器械運動の指導方法を紹介しているサイトを紹介(これは学校関係者、会員制のようです。紹介していいかどうかはわからないので名前は伏せますが)。
ああ、開脚前転って、膝が曲がっちゃいけないんだ・・・
っていうようなレベルの私ですから、へぇーへぇーへぇーと、トリビアの泉状態。

ただ、正しく理想的ではなくとも、とりあえず後転とびができるようになりたい、という初心者もいるわけで、そのへんのアドバイスとか、あと、それよりも上の、選手レベルでの技術相談はどうなるのかなぁと。うちの技術系掲示板は、サイト開設当初から技術面での相談が相次ぎ、管理人が素人のために、訪問者の方に手伝ってもらおう・・・と作ったのが始まりでした。んー、まあ、このへんも、正確性を求めるなら、よろしくないということになると思うのですが、ネット上の情報、中でも掲示板なんかは、正確性ってのは・・・難しいですね。ここでは学校体育の指導に関する話だけでしたが。

さて、昼休みは、初めて来たけど思った以上に立派な「国立オリンピック記念青少年総合センター」の敷地内を散策、また、会場後方に貼り出してあった、社会人選手へのアンケート結果報告などを見ました(全社のとき、実施されていたやつですね)。協会への要望とか、けっこう書いてる人多いんですね。やはり、練習時間、場所などに問題がある人が多いようです。

午後は「日本のジュニア体操競技の現状と将来」です。
(1)「ジュニア選手の指導育成:私の育った環境」・・・山田辰也(コナミスポーツ)

・・・おい、結局、目当てはこれか?といわれそうな予感。
いや、ほかのテーマも面白そうだったんで行ったんですよぅ(笑)。アメリカとの合同合宿が終わったばかりという山田選手ですが、ジュニア時代の基本が大切。基本ができていれば、大技もできる。でもって、苦手意識があると緊張する。自分はつり輪は緊張しないけど、あん馬は・・・。という話でした。大人になってからでは、基本は直らない、とも。
山田選手のあん馬はですね、ファンも一番緊張してますから。
というのは冗談として・・・やっぱり得意種目と苦手種目という意識はあるんだなーと。鹿島選手のことをすごいとも言ってましたね。その山田選手は、小学校のときに学校に体操部があり、また担任の先生が顧問だった・・・という非常に恵まれた環境だったそうです。しかし、こういう環境は少ないのが事実。続いて、

(2)「ジュニアクラブの運営の現状」・・・荒井迪夫(淑徳短期大学)

なかなか、興味深いテーマでした。
中でも、「ジュニアも、大会に応じたルールが必要」というお話。体操が楽しいと思わせるルールでないと。表彰も多くの選手がされるようにしたり。これは、社会人大会のルールを変更したほうがいい、という意見にも通じるとのこと(特に社会人二部の女子は、こういう意見多いですよね)。

それから、
(3)「体操競技の普及と総合型地域スポーツクラブ」
 ・・・藤本智文(NPO法人ルーデンススポーツクラブ)

# ルーデンススポーツクラブのサイト、
# 会場で見たんですが、いまちょっとweb上で見つけられない・・・

NPO法人としてスタートした、体操クラブのお話。このルーデンススポーツクラブというのは、山梨県にある、元の「藤本体操クラブ」で、現在は体操だけでなく、サッカーなど、いわゆる総合スポーツクラブだそうです。藤本智文さんというのは、旧姓の池尻さんでしょうか?ご自身も体操選手だった方。のっけから、totoの助成金減という暗いお話。また、NPO法人になって何が変わったかというと、信頼性・地域密着度だそうです。ただ、やはり子供にはサッカーが人気があり、体操、特に男の子に続けさせるのは難しいとも。学校の設備を開放し、NPOの指導者がそれを利用して、専門性に移行するのが理想とのお話でした。

質疑応答で、遠藤先生
「日本はアテネ五輪で活躍する」と断言(^^;
そして、その波を利用して体操人口を増やすには、どうしたらいいか?との問いなど。

私は、メディア露出じゃないのかなー・・・とは思いますけどね。五輪で活躍して、メディアに取り上げられて、子供が体操選手カッコイイ、やってみたいと言えば、親は体操クラブ探すと思います。そのとき、身近にいいクラブがあるかどうかですが、近年はネットで検索すれば、ある程度の情報が出てきますし・・・。お子さんが体操やってみることができますよ、という情報を、タイムリーに与えられるかどうかが大事かなぁと思う。 最初は前転でもいいけど、まず、バク転してみたいんだけど、という子供はたくさんいると思う。サッカーがなぜ人気が出たかといったら、Jリーグのおかげですが、そのJリーグでも、地域の小学校を巡回してサッカーを教える、などの地道な活動をしています。それはもちろんスポンサーが必要な話ですが(移動・人件費など)、それに便乗してみるとか。Jリーガーでも、バク宙のパフォーマンスとかしますし。体操全部を教えるのには器具が必要だけど、まず子供が喜びそうなバク転だけ教えてみるとか。
あ、でも子供にバク転教えると、危険かあ・・・話が全くとびますけど、中日カップのときロビーでやってる子がいて、危ないと思った。子供はやれるようになったら、そのへんでやっちゃうだろうし。事故が起こったときに責任になっちゃうかな。って、自己完結する私(^^;


プログラムにはありませんが、同じくNPO法人の体操クラブ、福島のラビット体操クラブの方のお話も。クラブは作るのはいいけど、移動するのが大変(器具が)、また、会員不足のときどうするか・・・など。体操人口増、浸透のために、地方での演技会が欲しい、との話なども。

と、私はここまでで残りのプログラムを拝見しなかったのですが、全体に、
コアなファン(?)なら、聞くだけでもけっこう、ためになるかも。
という感じでしたよ。

ちなみに、参加費は2000円です。